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若手社員が活き活きと働ける職場

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「会社に内緒で副業をしている従業員がいる。懲戒処分にしたい!」「なかなか仕事を覚えない従業員の給与を下げたいのだが...」といったご相談をいただくことがあります。これに対する表面的な回答としては「就業規則ではどのように取り決めておられますか?」といった内容になります。就業規則で規定されていれば、懲戒処分もできますし、降給も可能です。

ですから、中には「そのようなことができる就業規則に作り直してほしい」というご要望をいただくこともあります。厳格なルールを作り、従業員の皆さんがそこから外れた行動をしないようにする、万が一、ルールに反した行為があった時には会社として厳しい処分が行えるので、社員の非行を抑制することができる。結果として会社の業績も順調に伸びていく。こうした狙いがあるのでしょうが、果たしてそれは本当でしょうか? ルールで雁字搦めに縛り付け、ペナルティを恐れながら私語もせずに黙々と仕事をしている従業員。こうした会社が成長を続けていくのでしょうか?

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長寿企業が生き残る仕組み



幸いにして、日本には多くの長寿企業があります。世界人口に占める日本人の人口割合は2%に過ぎないのに、世界中の100年企業の80%が日本の企業である」といった統計もあるようです。同時に「企業の10年後の生存率は1割以下」という説も流れているようです。
数値そのものの精密性はさておき、この両者の違いはどこにあるのでしょうか?

調べを進めてみると、どうやら長寿企業には従業員から愛されるしくみ」「顧客・取引先から愛されるしくみ」があるようなのです。その背景にあるのは、「嬉しい」「恥ずかしい」「悲しい」といった単純な言葉では説明できない感覚、我々の中にまだ残っている東洋人の感覚、日本人の感覚です。例えば夏の甲子園大会。アメリカのスカウト陣からは「クレイジー」と酷評され、さらには近くにドーム球場があるにもかかわらず、真夏の炎天下で行われています。その舞台を目指す球児達、その姿を見て感動する大人達に支持され、もう100年以上も続けられています。「ドームではなくて甲子園でやるところに意味がある!」という、何の説明にもなっていない言葉なのに、何となく伝わってしまうという、あの「感覚」です。

労務管理上、時々相談を受けるものとして、有休休暇取得の問題があります。「先輩達が忙しそうにしているのに、今年入ってきた新人が有休を取ってスノボに行くと言っている。これ、おかしいよね。法律でどうにかできないの?」といったご相談です。法律では有給休暇は権利として認められているのに、「何かおかしい」という感覚、「何かおかしいけど言葉にできない」といった感覚です。


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環境が人を創る



もう一つ、長寿企業の特徴として「良い社員と悪い社員は、別々の人間ではない。1人の人間に、良い時と悪い時がある」という傾向も見て取れます。我々が自分自身を振り返っても「家族といる時の自分」「会社にいる時の自分」「学生時代からの友人といる時の自分」等々、会う人によって自分が変わっていることに気づかされます。

「良い社員・悪い社員」ではありませんが、「性善説・性悪説」という表現に絡めたご相談をいただくこともあります。「性善説を前提に就業規則を作ると、イザというときに会社を守れないから、今回の就業規則改定プロジェクトでは、ぜひ性悪説に立って就業規則を作っていただきたい」といった趣旨です。これに対しては「ウチは性善説や性悪説で就業規則作成のお手伝いをしたことはありません」とお答えできていません。強いて挙げれば、当事務所で念頭に置いているのは「性弱説」です。いわゆる「悪魔のささやき」があった時、人間はそれを跳ね除けることができず、ついレールを踏み外してしまう弱い生き物です。ですから、そうした「悪魔のささやき」そのものが職場に侵入してこないような環境整備を重視しています。

人間の性格には長所と短所があります。外部環境によって、長所が出たり、短所が出たりします。だからこそ「長所が出やすい環境を如何に創るか?」がキーポイントになるのです。

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いつの時代も人材育成



当事務所では、法律等のルールは守りつつ、今も残るこうした日本人の感覚や、社員個々が能力発揮しやすい環境づくりにも着目し、貴社にとって最適なご提案をしています。

従業員の皆さんには、いつの日か必ず貴社を卒業する日がやってきます。退職の時、退職金の金額の多さに驚くのではなく、その大きさに驚くような大きさの花束を皆さんから贈られるような、そんな人財に育っていること、そして送り出す側の皆さんも勤務を通じて、人を思いやれる優しさを兼ね備えていく。。。。「仕事がAIに置換えられていく」と叫ばれる今の時代だからこそ、代替の利かない人材の育成が、企業成長のカギを握っているのです。